顎を捉えて上向かされる、目が合えば鼓動は跳ね上がり、唇が震えた。
あ、と小さく息を飲む唇に触れてしまいそうな程に近づいた顔、ぎゅっととっさに伏せた瞼に、代わりに触れたやわらかさ。
戦慄き震えた細い身体を抱きしめ、怯えてるのか、と問われても答えられない。
こんなことをされるのは初めてで、戸惑いに身体が強張る。それをなだめる大きなてのひらが背中をなで、その優しさに力が抜けた隙に、唇が触れ合った。
「あ、ん!」
重なった唇はやさしく触れ合い、すぐに離れてしまった。
視界に入る赤い色。鼓動速めながらいつの間にかすがりついていた腕を解こうとして、その腕をとらわれる。
もう少しこのままでいいだろ、と。
低い声で笑って、ひょいと抱き上げられた身体。
もっと近づいた距離、逃れる気持ちは疾うにない。
ただ気恥ずかしさが残ったまま、その白い頬を染めてビルドは、その赤い色に瞳を奪われながら、2度目のそれを待った。