鐘の音が鳴る。
小気味よく響き渡るその音色に惹かれて走れば、ベルの傍ににこにこと笑うビルドがいた。
同じように集まってきたみんなとあいさつを交わし、集まったビルダーハートの量にすごいなと感嘆する。
荒れ果てた土地だった島には、今やたくさんのものが出来上がった。緑は増え、きれいな水が満ち、草花は萌え、木々が立ち並ぶ。オアシスも出来、観光地もいよいよ完成が近い。城はまだ作りかけだが、設備は十分に整いつつある。
たった三人だけだった住民はずいぶんと数を増やした。主要な島から集めた仲間たちや、そざい島から連れてきた人間だけでなく、手なづけた動物、さらには魔物もいる。実に賑やかだ。
そんな輪の中に、ビルドがいる。みんなに囲まれて、楽しそうに笑っている。
その姿を見るにつれ、戻ってこれてよかったとしみじみ思うのだ。
つらい気持ちにさせた別れのあと、ずっと深刻な顔をしていたビルド。きつく眉を寄せて、笑みが消えた瞬間を思い出すだけで胸がぐぅっと痛む。
だからもう二度と、あんな顔はさせたくないと思うのだ。
ひとしきり仲間たちと笑いあったビルドが、こちらを振り返る。ゆるくて可愛い表情で、シドー、と駆け寄ってくる。
「もう話はいいのか?」
首を傾げて問えば、うん、と頷いたビルドが隣に立った。
ムーンブルク以後見せていたあのぎゅっと何かを堪えているような顔ではなく、最初に会った頃と同じのニコニコ顔だ。
ほっとすると同時に、ぐっとくるものがある。たまらず抱き寄せれば、ビルドは最初こそ慌てたが、おとなしく腕におさまってくれた。
ああ。この顔だ。このぬくもりだ。
しみじみと実感する。
守ってやりたいと思った存在の傍に、帰ってこれたんだ。
心の底からほっとした。
しばらくぬくもりを堪能した後、そっと解放する。
「よし、今日は何をするんだ? 建築か? 素材集めか? それともそざい島巡りか?」
何処にだってついていってやるぜ、と笑って言えば、ビルドもにこりと笑い返して、弾む声で計画を口にする。そして、一緒に行こうと差し出された手を当然のように掴んで、シドーとビルドは歩き出した。